これもガイドをしている際のエピソードなのですが
入場の列に並んでいる時間を利用して、ゲストに歴史などを説明していた時のこと。
すぐ後ろにいた20代くらいの男の子たちの会話が耳に入ってきました。
「あれって何語?」「英語じゃないよね」
「スペイン語?イタリア語じゃない?」「かっこいいー」
日本では英語をはじめ、外国語を話せることがかっこいいと思われていますよね。
でも、どうしてなんでしょう。
自分自身、英語とスペイン語を話しますが、それがかっこいいと思ったことは一度もなく
この会話が気になって、ちょっと調べてみました。
これって、心理学的に「希少性の法則」というんだそうです。
人は、簡単に手に入れられるものより、数の少ないほうが価値が高いと判断するんだとか。
これには有名な実験があって
クッキーが10個入った瓶Aと、2個しか入っていない瓶B
中身は同じクッキーなのに、Bのクッキーの方が美味しいと言う人が多かったとのこと。
人の感覚とは不思議なものです。
で、日本には外国語を話せる人が少ないため
数が少ない=価値が高い=かっこいい ということになるんだそうですね。
ちなみに、ドイツやベルギーなど英語を話す人が普通な環境だと
英語を話すことに対して、まったくかっこいいという意識にはなりません。
また、これは希少性とは外れますが
スペイン人は、英語が話せない人が多いものの
生来の気質からか「だからどうよ?」的な感じがあって
英語を話せなくても恥ずかしいとは思わないんですよね。
なので、逆に話せる人を見ても、かっこいいという感覚は持たないようです。
日本人は英語が苦手と言われますが
確かに国際的にみても、英語を母国語としない約110の国の中で、日本の英語力は80位。
科学的にも、日本語から英語を学ぶのは、他の言語に比べて時間がかかると言われています。
さらに「間違えると恥ずかしい」という感覚も邪魔してますよね。
スペイン人なんか、堂々とスペイン語発音で英語の単語を発音してますが
(year は「じぇあぁ」になりますし、銀座Ginza は「ヒンサ」です)
全く気にせず、単語をつなげて意思疎通を図っています。
どうやったら、日本人がもう少し英語を話せるようになるのか。
いつも考えてますが、教育制度も性格もからんで、なかなかこれという方策はみあたりません。
でも、少なくとも「希少性」がなくなって
「英語が話せる=かっこいい」という発言がなくなる日が
いつか来てほしいと、心から望んでいるんですが。。。そんな日が来るかしら。
教育関係のえらい方々、本気で考えてくれないかしら。