ヨガというと,「私は体が硬いからヨガは無理ですね・・・」と言われることが多いです。
その度に,
「ヨガは体が硬くても全く問題ありませんよ。」
「むしろ硬い人の方が,柔らかい人よりも体の変化が分かりやすくてヨガ向きなんですよ。」
などとお答えするのですが,
「いえ,昔からですし,生まれながらの骨格ですから・・・」とおっしゃる方がいらっしゃいます。
確かに,体の柔軟性や硬さは,あるい程度は,遺伝も関係しています。
病気などによって,骨格が変形してしまい体が思うように動かないというケースもあります。
五十肩で肩が上がらないのは,関節をくるんでいる関節包が,筋肉の炎症などによって癒着することが
大きな原因のひとつとされています。
こうした原因から体が硬いということはありますが,たいていは,皆,もともとの動く範囲そのものは
ほぼ同じはずなのです。
では,なぜ人によって,その動く範囲に差が出てしまうのでしょうか。
その大きな原因の一つが,関節を動かしている筋肉が柔軟性を失うことにあるといわれています。
筋肉は,基本的に「収縮する=短くなる」ことで,関節を動かします。
短くなる状態がずっと続いていると,筋肉の組織そのものが,柔軟性を失い固まってしまいます。
肩こりなどがその一例です。
また,筋肉は使わないことでも,柔軟性を失ってしまいます。
洋式トイレが一般的になってしまった今,しゃがむという動作ができなくなってしまった人たちもいるそうです。
和式トイレの時代には,日常的に当たり前に使われていた筋肉が,洋式トイレの生活で使われなくなり,
固くなってしまったのでしょうね。
このように,関節を動かす源である筋肉が柔軟性を失い硬くなることで,関節が硬くなる――つまり,体が硬く
なってしまうのです。
ですので,体が硬いのは,骨格のせいでも生まれつきでもなく,日々の生活で筋肉を使っていくことで改善されます。
ヨガは,この「筋肉の使い方」を身につけていきます。
これまでの生活習慣や,今の筋肉の状態を考慮して,無理なく自分のペースで筋肉を使い,柔軟性を高めていきます。
元々硬い体だから・・・とあきらめずに,まずは,自分の日々の生活での「筋肉の使い方」を気をつけることから
始めてみましょう!